*エトセトラ*
「相変わらずきっつい奴」
突然そんな声が響き渡り、後ろを振り返った。
「泰造…」
あくびをしながら、体を起こして立ち上がっている。
そういえば、視聴覚室は泰造がサボるお決まりの場所だったなと、ここで思い出す。
「聞いてたのか?」
「ああ、全部」
「……菜都に言うなよ」
「さあね、それはどうだろう」
ふざけた調子で言う泰造にひと睨み返すと、「はいはい、分かってるって」と信用ならない返事が返ってきた。
「それにしても玲人も大変だな」
「蒸し返すな」
「いやいや、あんな面白い場面見せられて蒸し返さないわけがないだろ」
「お前な…」
溜息を零す俺に、泰造は続けて喋る。
「それにしても、お前なっちゃんのこと相当溺愛してんな」
「…………」
「ここになっちゃん連れて来ようと何度思ったか」
「…………」
このままだと、こいつはいつまでもからかい続ける。
そう判断した俺は、泰造を無視することに決め、さっさとこの視聴覚室から出ることにした。
「おい玲人!どこ行くんだよ」
「もう戻る」
「戻るってどうせなっちゃんのとこだろ」
……図星なので何も言い返さない。
ごちゃごちゃうるさい泰造を置いて、視聴覚室を出た。
サエコと、ついでに泰造で疲れきった俺の心を早く癒したい。
一刻も早く菜都に会いたい。
そう思って足を進める俺は、このときすっかり忘れていた。
菜都が災難に巻き込まれやすい体質だってことを。
突然そんな声が響き渡り、後ろを振り返った。
「泰造…」
あくびをしながら、体を起こして立ち上がっている。
そういえば、視聴覚室は泰造がサボるお決まりの場所だったなと、ここで思い出す。
「聞いてたのか?」
「ああ、全部」
「……菜都に言うなよ」
「さあね、それはどうだろう」
ふざけた調子で言う泰造にひと睨み返すと、「はいはい、分かってるって」と信用ならない返事が返ってきた。
「それにしても玲人も大変だな」
「蒸し返すな」
「いやいや、あんな面白い場面見せられて蒸し返さないわけがないだろ」
「お前な…」
溜息を零す俺に、泰造は続けて喋る。
「それにしても、お前なっちゃんのこと相当溺愛してんな」
「…………」
「ここになっちゃん連れて来ようと何度思ったか」
「…………」
このままだと、こいつはいつまでもからかい続ける。
そう判断した俺は、泰造を無視することに決め、さっさとこの視聴覚室から出ることにした。
「おい玲人!どこ行くんだよ」
「もう戻る」
「戻るってどうせなっちゃんのとこだろ」
……図星なので何も言い返さない。
ごちゃごちゃうるさい泰造を置いて、視聴覚室を出た。
サエコと、ついでに泰造で疲れきった俺の心を早く癒したい。
一刻も早く菜都に会いたい。
そう思って足を進める俺は、このときすっかり忘れていた。
菜都が災難に巻き込まれやすい体質だってことを。