*エトセトラ*
―――――
――――
――…



「ねえ、さっきから何考えてるの?」


その柔らかな声に、我に返った。


昼休憩の屋上。

菜都が不思議そうな顔して、俺の顔を覗き込んでいる。


「…ん?」

「さっきから、黙り込んでどうしたの?」

「ああ…、いや、」


菜都との出会いから今までのことを、色々と思い出していた。


「何か、考え事でもあるの?」

「いや、そうじゃなくて…」

何と答えようか迷ううち、菜都の表情にどんどん不安の色が見え始める。

それに苦笑しながら、菜都の手を取り絡めるようにギュッと握った。


「菜都とのことを思い出してただけだ。色々と」

「色々って何っ!?変なこと思い出してないっ?」

「変なことって何だよ」

「い、いや別に…、だって最初の頃とか、あんまりいい思い出がないし…」

口篭もっている菜都に思わず笑ってしまった。


……まぁ、確かに菜都にとってはそうかもしれない。

俺にとっても、後半はイヤな思い出しかない。


それもこれも、自分の身勝手さが引き起こしたことではあるが。


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