東条家との、出会い。~社長室・特別編~


その当時から、東条といえば超がつくほどの名家として知られていて。



一般家庭に育った私も、名前だけは聞いた事があったから。




分け隔てのない所作に驚かされて、またしても息を呑んでしまったの・・・




頭を上げた彼と再び眼が合って、自身の自己紹介を忘れていた事に気づくと。




「あのっ、葛西 理沙子と申します。

こちらこそ登用下さって、本当にありがとうございます。

素敵な商品のCMに出演させて頂けて、凄く嬉しいです!」


彼のあとを続くように、慌てて深々と頭を下げて一礼をした私。




「そう言って貰えると、こちらも大変嬉しいです。

本当にありがとう・・・」


「そんな…、すみません」


どうしても眼が合うたびにドギマギして、焦りから何故か謝ってしまう。




「ハハッ…、謝らないで欲しいな?」


「・・・ッ」


落ち着き払った優雅な佇まいとは裏腹に、優しい微笑を投げ掛けられるから。



ドキリと、鼓動が急加速していくのを感じずにはいられなかった。




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