さぁ、跪いて快楽を乞え!
「じゃあ、雅美は家で衣装に慣れて女みたいな仕草をする練習。高根沢は台詞の練習。各自よろしく」

「あいよ」

金髪もまばゆい高根沢は気楽に返事をしたが、薫は舌打ちを返した。

台詞、演技ともに順調な薫だが、仕草だけはいつまでたっても男らしいのだ……。雅美の跡取りらしく、そんなにガサツな行動はしない薫なのだが、女子、それもお姫様ともなれば話は別。男子なのだから仕方ない、で片付けてしまえばそれで終わりなのだが、たかが男子、されど男子、だ。どうせ見に来る奴等が居るのであれば、皆をわっと言わせるような劇にしたい。……というのがこのクラス皆の考え。

「ま、薫は橘さんに見てもらいな。きっと、素敵なお姫さんになれる」

舌打ちをした薫に情けを掛けるように、しかし、馬鹿にしたように肩をぽんぽんと叩き、菖蒲が言う。

「俺の相手役は本物の女が良かったなぁ〜」

「うるせぇ! おまえら、この俺が女役をやっていることに感謝しやがれ!!」
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