意地悪王子と天然彼女
『ばっばか!!
もう知らない。帰る。』
そう言って海を押して、帰ろうとしたのに……
逆にあたしの手が掴まれちゃいました…。
そして海はそのままあたしの腕を掴んで自分の方に引き寄せたと思ったら、あたしの耳元に近づき、
「大丈夫。別に痛くないよ…
俺優しくするから……」
と言ってニコッと微笑んだ。
そういう問題じゃないから……。
あーもうっ。
どんどん海のペースに流されてんじゃん。
そして海が少し力を抜いたとき、
あたしはその腕から逃げて自分の部屋に走った。
まだダメか…じゃもう少し待つしかないか。
そう海が後ろで囁いていたのを知らずに。