〜初恋〜アナタに溺れる
「明後日空けとけよ?」

夕飯を食べながら猛がそう口にした。


「ん?明後日?」

「おまえ、誕生日だろ?」


え?

うそ…覚えててくれてたなんて…


信じられない。


「覚えてたんだ?」

鼻先をポリポリかきながら照れたように、フワッと優しく笑って…


「3年…祝ったからな。」

嬉しい。

こんなに嬉しいのって久しぶり。


「えへへ…なんか、嬉しいかも」

猛はこの時すでに決めていたんだ。


私とは逆の選択肢を…


私がもっと早く自分の想いを打ち明けてれば…違う結末があったのかな。



やっぱり…私は愚かな人間だ。


どこまでも、悲しくて寂しい…哀れな心を持った愚かな人間。


ただ…

あなたの幸せを想っていただけなのに。



そのためにこの手を離したのに…




バカだね、私。






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