犯人ゲーム
「あぁ。悪い」
陽一はゆらりと立ち上がる。
見下ろす形になった遥の全身。
胸の上に小さく握られた量の拳。少しはだけた太もも。
陽一は妙に照れくさくなって逃げるように視線を暗闇の画面に移した。
画面には、相変わらず鬼火のようにオレンジの光が反射している。
「陽一、あの」
遥が立ち上がり、スカートを払う。
「助けてくれて、ありがと」
遥の声に呼応して振り返る。
「別にいいさ」
「うん。でもやっぱり言っておきたくてね」
「いつもなら言わないのにな」
「いつもは、なんか。恥ずかしくてね。上手く言えないだけ」
「じゃあ、今は恥ずかしくないのかよ」
「まぁね」
そんな遥の言葉になんだか陽一の方が恥ずかしくなった。