犯人ゲーム



「ねぇ、目を逸らしちゃダメだよぉ」


あっけらかんと彼女は言う。


「……何の話だ」


「何の話だろうね」


彼女はぼんやりと呟いて、目を瞑った。


また眠るのだろう。


「ねぇ」


「うん?」


「遥は親友だったかい?」


…親友。


思考は停止して、言葉の意味を咀嚼(そしゃく)した。


俺にそんな事を聞くのか、お前は。


答えなんか決まってる、口に出すまでもない。


「私にとって、言わずもがな遥は親友だったよ。よーいちやこうじもそうだけどさ」


「……」


「そんな親友のさ、命を踏み台にして私はね。生きたくないよ」


そう言って彼女は小さな寝息をたて始めた。


……言いたいことだけ言って、あとはすぐ寝やがって。


俺はイライラしく後頭部を掻いた。


……俺も、寝よ。チェシャ猫が現れるまで。


体力と気力を温存しよう。


あのクソ猫の好きなようにはさせない為に。



俺が、潰してやるんだ。







★ ★ ★



< 77 / 154 >

この作品をシェア

pagetop