【完】君の笑顔





「あ、ちょっと」


これ着て……


そう言おうと声をかけても僕の呼び掛けが聞こえていないかのように黙々と足を進めていく岡本さん。



絶対聞こえてるはずなのに。


無視ですね。



もしかして……早速病院を出て“行きたい場所”に行くつもりでは無いよね?



清水先生は僕に任せてくれると行ったけれど、僕としては病院で大人しくしていて欲しい。


その事についてまず話し合わないと……。






病院外に行くのかと不安だったのも、岡本さんの向かっている方向が大体分かっていくうちに消えた。



向かった先は中庭。



自動ドアが開いた瞬間、冷気が院内に入り込んでくる。



寒い……



そう思えば、前の岡本さんも体を震わせた。



……風邪引きますよ?



中庭に行くつもりならちゃんと上着を着て来ないと。



だんだんと冬に近づくに連れて気温は下がって行くんだから。









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