【完】君の笑顔
「それはダメです。可哀相な気もしますけど……
発作が起こった時の事を考えたら今は病院に戻るべきです。
それでは失礼します」
あさみちゃんを見ると、あさみちゃんも分かっているように黙って頷いた。
それでも嫌がる岡本さん。
……言うこと聞いてよ。
強引にするのは好きでは無いけれど……。
僕は踏張る岡本さんを無視して引っ張る。
力を入れて歩く僕と、必死に踏ん張りつつも引きずられていく岡本さん。
周りから見たら、不思議な光景だろうなぁ。
現に、通り過ぎていく人が何事だ、と好奇の眼差しを向けている。
「た、高橋と一緒にいる今の方があたしは発作起こりそうなんだけど!?」
ぐっと歯を食い縛りながら必死に抗議してくる。
……僕といた方が?
「じゃあ起こる前に病院に戻ろう」
その言葉に少し苛っと来たけれど、それを表面に出すこと無く受け流す。