【完】君の笑顔
医局の椅子に座って、机に腕を枕に俯せる。
なんだろう、この煮え切らない思いは。
「高橋君」
横で椅子の軋む音が聞こえて、清水先生だと分かった。
「……心ちゃんの事、やっぱり納得いかない?」
言わなくても、僕の心の中を理解しているかのように微笑んでくれる清水先生。
「納得…と言うか、写真展に行った時言われたんです」
「なんて?」
「……僕に自分の心臓を任せる、と」
「おぉ」
心ちゃんが……と呟いて笑う清水先生。
僕にとっても予想外の嬉しい言葉だった。
「でも、それは自分が手術を受けると決めた時で。それまでは発作が起きても手術をしないでと言われたんです」
清水先生は黙って僕を見る。
穏やかな瞳に、また僕は口を開く。
「発作を起こして意識を失う直前も、必死に苦しそうに言ってました。手術は嫌、しないで、って」
なのに。
してしまったんだ。
手術をした事に後悔している訳では無いけれど、もっと別な方法で手術を受けさせてあげたかった。