【完】君の笑顔
運ばれてきた岡本さんは、いつもと同じ、発作の時の苦しそうな表情。
顔を歪めて、荒い呼吸を繰り返しながら必死に酸素を取り入れようとしていて。
服の上から心臓を押さえ、前かがみになろうとする。
そんな姿を見て、僕は何で……と言う気持ちでいっぱいだった。
手術をして早くこの苦しみを消し去ってやりたい。
誰でもそう思うはず。
……発作を起こせば苦しい思いをする事は、彼女が一番分かるだろう。
何かの拍子で発作が起きて苦しんで、病状自体は軽くても下手をすれば死に至る。
手術をすればそんな事無くなるのに。
それなのに、今回も清水先生が言ってみたにも関わらず彼女は断り続け、そして病院を抜け出すいつもの生活を送っていた。
「理由が分かればいいんだがねー……」
「親御さんも理由、知らないんですか?」
僕が清水先生に聞くと、清水先生はわずかに頷いた。
「聞いてはいるみたいなんだけどね、『嫌な物は嫌!!』しか言わないんだと」
「頑固ですね……」
僕がそういうと、清水先生は笑う。
言えないような理由なのだろうか……?