SAYONARA
 心臓がいつもより大きな音を鳴らしはじめた。隣にいる功に聞こえるんじゃないかと思う程。

「数学の宿題、分からないところがあったから教えて」

 そう言うと、功は笑顔を浮べる。

 あたしは鞄からノートを取り出し、功に渡した。

「ありがとう」

 お礼を言い、ノートをひろげた功に思わず声をかける。

「どうかした?」

 不思議そうに明るい笑顔を浮かべる功に、昨日の少女の笑顔が重なる。

 あんたの彼女は昨日他の男と一緒にいて、楽しそうに笑っていたよ、と 伝えるの?
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