SAYONARA
人生の中の一瞬の時間
 あたしは学校に行くと、功を探す。

 親から何をしに出かけたのかと小言を言われながらご飯を食べ終え学校に着いた。いつもよりギリギリの時間だ。

 功は自分の席に座り、あくびをかみ殺している。

 彼の机にあたしの影が映る。

「今朝、N公園で功を見たよ」

「気づかなかった。声をかけてくれれば良かったのに」

「悪いかなと思ってさ」

「いまさらそんなことを気にしなくてもいいと思うけど」

 彼の言葉に笑う。

「ずっとジョギングしているんだよね」

「まあね。少しでも体力つけたいし」

「朝から晩まで部活で、大学大丈夫なの?」

 あたしの言葉に功は顔を引きつらせる。

 少し前に、彼は近くの私立大学を志望校にしていた。

「頑張るよ」

 力なく頷いた彼にあたしは顔を綻ばせた。
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