王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

「準備できたよー!」


地面に展開された魔法陣。


雲ひとつない紺青の空には、黄金色に輝く月が辺りを淡く照らしている。


三人が魔法陣に入ると、マルタとエナは膝をついて両手を魔法陣に乗せた。


転送場所はアレグリア平原のど真ん中。


距離こそあるが、月光術と聖霊術を合わせれば転送可能範囲内だ。


「転送先にも魔法陣が展開されてるはずだから、帰りたくなったらその魔法陣に入って。ただ三十分しか魔法陣が保たないから、必ず三十分の内に戻ること。いい」


「え、じゃあもし手こずって三十分以上経っちまったら……」


「歩いて帰って来るのね」


さらりと酷いことを言うエナだが、これが現実。


三十分の内に術者を倒さなければならないという時間制限も加わったが、だからといって作戦内容に変更はない。


「気を付けろ。危なくなったらすぐに戻れ」
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