王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

ドラゴンは敗れ、影の支配者であるオメガも倒した今、レインを生かしておく理由がない。


レインは自嘲気味に苦笑すると、小さく溜息をついた。


「撃ちたければ撃てばいい」


なにかしらの抵抗を見せると思っていたユリエスは、レインの言葉に多少驚きの色を覗かせた。


レインがドラゴン討伐に参加したのは、大長老によって牢獄された両親の解放。


ドラゴンを討伐し任務を全うしたが、あの大長老と長老達がそう易々とレインの両親を解放することなどない。


大長老はそういう人間。


あれやこれやと次から次へと条件を出され、使いっぱしりにされるのが目に見えている。


そもそも両親が本当に生きているかさえ疑問。


おそらく当の昔に殺されているだろう。


全てを分かっていながらレインが討伐隊に参加したのは、氷眼の民の隠れ里から逃げ出したかったのが本音である。
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