王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―

「なんで女の人が襲ってきたんだ?」


ユリエスが首を傾げる。


その問いに答えたのは、意外にもレインだった。


「反王府組織などいくらでもいるさ。そいつ等からしたら、王都を守る討伐隊は邪魔でしかないんだろう」


「あ、なるほど」


裏世界に精通していたユリエスはすぐに納得したが、マルタにはまだ理解するのは難しいようだ。


こめかみに指をあて、頭上には疑問符が浮かんでいる。


レインは小馬鹿にしたように一笑し「これだから馬鹿は困る」とまた毒を吐いた。


「んなっ!? あんたもう許さないんだから……んむぅっ!?」


とっさにマルタの口を塞ぐエナ。


今は言い争う時ではない。まずは目の前の問題に着手すべき。


とはいえ怒りが頂点に達しているマルタに説明したところで無駄なので、静かにさせるために無理やり口を塞いだ。実力行使。
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