瑠璃色のアバランド
アバランドへ−

−確かにそう告げられた。

頭の中が混乱して、まだ目を開ける勇気がない。真司は先程起こった事を一生懸命整理しようとしていた。


確か図書室で本を読んでいたはずだ。そうしたら急に…。
そこで不意に思考が中断される。馴染みのあるあの声が飛び込んできたからだ。

「シンちゃん、シンちゃん…!」


その言葉に驚き、慌てて目を開ける。

(−−−!)

真司の目の前にはただただ、碧い空が広がっているだけ。
そして視界の隅に、心細げにこちらを見つめる一人の少年の姿。

「よかった、シンちゃん。目を覚まさないと思ったよ!」

そう言って自分を抱き起こした少年の姿に、真司は面食らった。

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