たった一人の親友へ
バイクの後ろに乗せてもらい

勢いよく発車するバイク


翔の背中がいつもより広く感じた


「あぁ、ねみぃ…」


そんなこと言ってる翔に不安に感じさえしなかった


今までだって何度もこういうことがあったから


順調に進むバイク


もうすぐ海が見えなくなる


十字路の交差点





それは突然だった


乗用車が赤信号の中飛び出して来て


あたしたちのバイクへと突っ込んで来た


小さい頃の記憶がよみがえる


あの家族を引き裂いた事故の記憶


あたしと翔の身体は一瞬で宙に浮いて


地面へとたたき付けられた


薄れゆく記憶の中で思ったことは


翔のことだけ






神様


どうか翔を助けてください




< 209 / 265 >

この作品をシェア

pagetop