たった一人の親友へ
友香が入院して母は家に帰らなくなった

父は単身赴任

家にはあたし一人


こんな広い家に一人残されると、どうしようもなく寂しくて

最近一人になると

感情とは無関係に涙が出た


玄関のベルが鳴る

あたしは急いでドアを開けた


隆也は走ってきたのか、髪も呼吸も乱れてた

そしてあの懐かしい笑顔をあたしに向け

「走ってきちゃった」


どうしよう

泣きそう

気付いたら涙が頬をつたっていて

あたしは隆也の腕の中で

赤ん坊のように泣き叫んでいた




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