泪の花。
例え…

俺の思いが届かなくたっていいから…


初美の目に、あの頃の光を宿したい。



「俺って健気だろ?」



墓前に向かって話しかけた。


由貴さんが生きていれば、バカ言えと叩かれるかもしれない。



泣かせたい。


なんて言えば、なんだか変だよな?


でも、初美は…涙の中に笑顔を咲かせるから綺麗なんだ。



「きっと、ここにも一緒に来るからな…約束だ。」


由貴さんが、そこに居るような気がして…


思わず約束なんて言葉を言ってしまっていた。



“ありったけの力で守るよ。”




あの時口に出して言えなかった言葉を、そこに置いて家路についた。
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