泪の花。
いつも海ちゃんと呼ぶのに…



朔來は相当怒っているようだ。



私はと言うと…



放心状態で何も言葉が出なかった。


だんだんと腹が立ってきて、授業が始まるまでそんなに時間はないのに、無言で教室を出て廊下を全力疾走していた。




腹が立ったのはアイツに何かじゃない…


自分にだ。


アイツは本当の事を言っただけ…



廊下の突き当たりまで走ると座り込んだ。


自分が知らなかった、違う…


認めたくなかった本音を、自分意外の誰かから指摘された事が、堪らなくイヤだった。



でも、言われなければ一生気付かないフリをするだろう。



私はそういう奴だから。黒い影に食いつぶされそうになりながら、始業のチャイムが鳴り始めた。





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