深想シンドローム


「もー、何なら付き合っちゃえば?」

「ぶっっ!!!」


お昼休み、いつものように4人でお弁当を囲んでいると明日香ちゃんが突拍子もないことを言い出した。

思わず口に入った唐揚げが飛び出しそうになるのを、寸でのところで堪える。

むせるあたしの背中を
「大丈夫?」と言いながら、ちづちゃんが擦ってくれた。



「つ、つつつ付き合うって…、」

「だから、西くんと。」

「な、何で!?」


何でそうなるの!?



「いーじゃーん、西くんカッコイイんだしー。」


そう話に割り込んで来たのは、お昼ご飯をカロリーメイトだけで済ませたヒナちゃん。

どうやらダイエットしてるらしい。

全然太ってないのに。



「カ、カッコイイからってだけじゃ付き合う理由にならないよ!」

「そーぉ?」

「大体、西くんはそんなつもりじゃないと思うし!」


動揺して次々におかずを頬張るあたしを、みんながイヤラシイ目で見つめてくる。

だからあたしは、ひたすらお弁当に集中した。



そう、学校で流れてるあたしと西くんの噂。


“E組の望月ミーコとB組の西は付き合ってる”



その噂に、3人は声を揃えてあたしに言うんだ。




「この際、噂を本当にしちゃえば?」



断じて致しません。






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