深想シンドローム


結局、あの後も散々
西くんと付き合ってみなよ!なんて言われ続けて。


「付き合うって、好き同志じゃなきゃダメでしょ?」

と言ったあたしに
みんなは“そんなことない”と当たり前のように答えた。



「付き合ってから好きになるパターンだってあるよ?」

「そうそう!ヒナもあるし。逆に、好きで付き合っても“違う”って思う時だってあるし!」

「うん、あるある。あたし今のカレシ別に好きじゃなかったもん。」


ち、ちづちゃんまでー!?



そんなこんなで、あたしの頭はキャパオーバー。

みんなの話に全然ついていけなくて。


逃げるようにして駆け込んだのは、やっぱり花壇だった。



いつものようにホースを持ち、水やりを開始する。

だけどどうにも気分が沈みっぱなし。


“好きじゃなくても付き合う”


みんなの言葉がグルグルと脳裏を巡って、あたしは溜め息を吐き出した。



「…そうゆうモノなのかなぁ。」


恋人になるって、もっとステキなことなんだって思ってた。


好きで好きで、たまらなくて。

ずっと一緒に居たいから付き合うんだって。


なのに、恋人になるってそんな軽いモノなの?



そもそも、恋愛経験のないあたしには考えたってわからないけど…。



何となく。
そうゆうのは、違う気がするんだ。




< 27 / 111 >

この作品をシェア

pagetop