深想シンドローム


他のクラスメイトはすでに移動したらしく。

あたしたち4人は時間を気にしながらも、ようやく教室を出た。


すると廊下を出てすぐ「あっ!」と声を挙げたヒナちゃんに、みんなの足が止まった。



「何よー、またイケメンでも見つけた?」

と明日香ちゃんが言うと
ヒナちゃんは頬を染めながら、手招きをして窓の外へ指を指す。


「違うよー!ミチルくんだよ!」

「ウッソ!どこどこ!?」

「それって本当にミチルくんなの?」


ヒナちゃんの言葉に、ちづちゃんまでもが窓の外を覗き込む。


一方のあたしは、見たくても
3人とも背が高いせいか、どうにも見ることが出来ない。

身長152センチのあたしに、160近くあるみんな。

明日香ちゃんなんて、165センチ越えで。


一生懸命背伸びして見ようと試みたけれど、結局見れず。



「あーぁ。行っちゃったぁ。」

と残念そうに呟くヒナちゃんは、言葉とは裏腹にどこか嬉しそう。


明日香ちゃんはと言うと

「後ろ姿しか見えなかったんだけど!」

と、ちょっとご立腹。


「まぁ、そのうちまた見れるんじゃない?」

そんなみんなを宥めるのは、やっぱりちづちゃんの役目だ。



あたしは首を傾げ、みんなに尋ねる。



「…ねぇ、ミチルくんって人…そんなに有名なの?」



ちなみに、あたしは
その“ミチルくん”とやらを、一度もお目にかかれたことはない。





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