王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
フードの下から現れたクラウンの姿にサレンスは息を飲んだ。
年のころは十七、八位、だろうか。
どこか達観した物言いから予想していたよりも幼い。
漆黒の髪には、ところどころ煌く銀の房が混ざっている。
妖しく輝く黄金色の双眸。
人のものには見えぬ獣のような耳。
そして特筆すべきはその額に生える小さな角。金と銀とが入り混じった様が大理石のようでもある。
「綺麗だ」
素直な感嘆とともに滑り出てきたような言葉に、クラウンは少しだけ金の瞳を見開く。
「そうか?」
「その角」
「角の方かい」
「もちろん、君も綺麗だよ、クラウン」
ごく優しい声音でささやかれた言葉に対する彼女の言葉は手厳しいものだった。
「あんさん、見かけも悪うないし、力もあるみたいやけど、もてへんやろ? それじゃ、女は引っかからんよ」
クラウンの身も蓋もない物言いにサレンスは苦笑いをする。
「そんなものか」
「ちぃっとも本気やないもんな」
やれやれとでも言いたげに首を振るクラウン。その彼女の黄金の瞳に悪戯ぽい光が浮かび上がる。
「それにしても、あんさんの髪、綺麗やな。銀細工みたいや。ちょい触らしてもろうてもええやろか?」
そう言いながらもクラウンはすでにサレンスの後に回っている。触る気まんまんである。
「別にいいが」
了承の言葉を受け取ると、クラウンはいそいそとサレンスの腰ほどもある長い銀髪に手を触れる。手櫛で梳いてみると髪は艶を増し、さらさらと手から零れ落ちる。
年のころは十七、八位、だろうか。
どこか達観した物言いから予想していたよりも幼い。
漆黒の髪には、ところどころ煌く銀の房が混ざっている。
妖しく輝く黄金色の双眸。
人のものには見えぬ獣のような耳。
そして特筆すべきはその額に生える小さな角。金と銀とが入り混じった様が大理石のようでもある。
「綺麗だ」
素直な感嘆とともに滑り出てきたような言葉に、クラウンは少しだけ金の瞳を見開く。
「そうか?」
「その角」
「角の方かい」
「もちろん、君も綺麗だよ、クラウン」
ごく優しい声音でささやかれた言葉に対する彼女の言葉は手厳しいものだった。
「あんさん、見かけも悪うないし、力もあるみたいやけど、もてへんやろ? それじゃ、女は引っかからんよ」
クラウンの身も蓋もない物言いにサレンスは苦笑いをする。
「そんなものか」
「ちぃっとも本気やないもんな」
やれやれとでも言いたげに首を振るクラウン。その彼女の黄金の瞳に悪戯ぽい光が浮かび上がる。
「それにしても、あんさんの髪、綺麗やな。銀細工みたいや。ちょい触らしてもろうてもええやろか?」
そう言いながらもクラウンはすでにサレンスの後に回っている。触る気まんまんである。
「別にいいが」
了承の言葉を受け取ると、クラウンはいそいそとサレンスの腰ほどもある長い銀髪に手を触れる。手櫛で梳いてみると髪は艶を増し、さらさらと手から零れ落ちる。