王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
「そりゃ王水や。塩酸と硝酸を混ぜて作るんや。銀は溶けへんし、むっちゃ危険な酸やから、わしはあんま使ったことはないな。せやけど、なんでそんなん聞くん?」
「王都に向かう途中、ドラゴンに遭遇した。あの鱗は金の感触があった」
「なるほどな。あんさん物の温度を扱えるんやったな。それで素材がわかるんやな」
「なんとなくだけどな、だがどうして知っている? レジィが話したのか?」

 氷炎の民は炎を操る。だが、物の温度を自在に左右できるのはサレンスだけだ。
 王都に着いてまもないころ、どういうわけかレジィはあの流浪の民の青年ベリルにサレンスの力のことをしゃべってしまったようだが、それ以外は自重していたはずだ。あの青年も特に口が軽いと言うわけでもなさそうだったが。

 知られたからと言って、特に支障があるというわけでもないが、別に自ら広めて回ることもないのでそのままにしていた。

「まさかや、あん子はあれで口が堅いとちゃう?」

 クラウンは今度はサレンスの向かいに回ると、そこにあった椅子に体を落ち着けた。ゆっくりと煙管を燻らす。

「それこそ何となくやな。そやけど、ドラゴンの鱗はさすがに純金製やないやろ。あれが全部純金やったら、重うして飛べんのとちゃう? ようして鍍金やな。癒しの民のグレードはんの話ではドラゴンは炎だけやなくて酸を吐いとる形跡があるちゅう。金なら酸に腐食されにくいやから、道理には合っとるが、中はもっと軽いものや」
「なるほどな」

 サレンスは凍青の瞳をひたりとクラウンに向ける。

「伝説の雷電の民か。君は何ができる?」

 直截な問いだった。
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