crystal love
先程から、ずっと誰かを
探していたボスは、表情を
ふっと緩める。


「ああ、居た。
ディオナ、行こう。」

彼のエスコートに身を委ねる。

「やあ、ロバート。」

ボスの呼び掛けに、
相手がふりむく。

ふたりは、ニッコリ笑み
互いに再会を楽しんでいた。

「ハリスン、こちらは?」

こちらに視線を向け問う男に、
自己紹介をした。

彼もまた、モデルかタレント
だったのだろうか?
ステキな人だった。

「彼女は、うちの語学院で、
アルバイト講師をしてくれて
いるんだ。
今日は、急遽、私のパートナー兼
通訳をお願いしたんだ。」

「ディオナ、よろしく。
ロビーとでも呼んでくれ。」

イタズラな笑みと共に、
差し延べられた、掌を握り返す。


なにかを考えていたロバートが、
口を開いた。

「そういえば。

ジェイドを教えてくれているのは
君かい?」

返事に困り、ボスに目配せする。

「そうだよ。最近ね。」

「そうか。あいつ、
うちを辞めてね。
エレナで、一旗あげるんだって
いってね。

今、出国までの最終調整なんだ。

ヨロシク頼むね。


そういえば、あいつ遅いな。」

いったロバートに、
ハリスンの方が、早く反応する。


「あいつって・・・

・・・ジェイド・・・?」


 
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