僕は君のもの
雨の日に登校する美紀をみんなが面白がって見る。
だけど家にいたってすることないし、余計なことを考えるだけ。
そんな日は必ず直ちゃんから電話がかかってくる。
でもそれに応える心の準備ができてない。
「…ゲホッ。」
特別棟のトイレは人気がなくて気を使わなくていい。
「つわりってこんなにキツイのぉ~…?」
目尻に溜まる涙を拭いながら息をつく。
「でもがんばるからね。」
優しくお腹を撫でる。
「大丈夫。美紀がいるから。美紀がんばれるから。」
直ちゃんに全てを告げる勇気はまだない。
だけど、一つだけはっきりしていることはある。
美紀は何があってもこの子を産むんだ。
絶対、産むんだ。