先輩(仮)



「崇哉先輩!!」


なっちゃんとテツが小声で手招きして俺を呼ぶ。


「優莉どうしちゃったんですか?買い物でなんかありました?」

「なんかすごく怒ってない?俺、優莉ちゃんが怒ってるの初めて見たかも…。」


そりゃあんなに態度に出てたら2人も気付くよな、俺はスーパーであったことを話した。


俺の気持ちは隠して、おばちゃんとどんな話をしたかだけだけど。



「それ先輩が悪いよ!悪ノリだよ!」


「え?ちょっと、なっちゃん?」


なっちゃんは呼び止めにも見向きもしてくれなくて、優莉のいるキッチンへ行ってしまった。


なっちゃんまで怒ってる?


「まあ、なんていうかさ…、お前が悪いよ崇哉。」


「………やっぱりそう思うか?」


テツはうんうん頷いて肯定する。


「謝った方がいいと思うよ?それに怒るってことはまだ崇哉のことが好きだからでしょ?」


「それは…どうかな?結構かわいそうな振り方しちゃったし、もう半年くらい経つよ?気持ち変わるでしょ。…でも、ちゃんと謝るは謝るよ、ほんと悪ノリだったと思うし。」


「俺的には見間違ったことを否定しなかったことよりも、ノリで受け答えしたのが嫌だったんだと思うけど?」


「…。優莉にはノリでとか言ったけど正直言うと嬉しかったからこのまま否定しなくてもいいかなって思ってさ…。」


「…はぁ。」


ためいき?なんだよそれテツのくせに…。


「なんだよ、言いたいことあるなら言えって。」


「崇哉は不器用なだけなんだな…。その気持ちそのまま優莉ちゃんに伝えるべきだと思うよ?」


「は?何を?」


「だーかーらー!レジのおばちゃんにそう言われたのが嬉しくてつい否定すんの忘れたって!」


「でもそれって…。」


俺が優莉のこと好きって言ってるようなもんじゃね?振っといてそれって…、それにアイツのこともあるし気持ち伝えたところでどうにもならないだろ?




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