番外編
幾年もの時が過ぎる。

月の明かりは色褪せる事も、潰える事もない。

砂浜に佇む男は月を見る。

変わらぬ月の明かりに照らされる男は、年月と共に年老いていた。

変わった事はそれだけに留まらず。

女は世界のどこを探しても姿はない。

空に浮かぶ月にもいないだろう。

現世と常世の壁に隔たれ、二人は二度と手を取り合うことはない。

それでも、男に不満はなかった。

女は自分の道を選んだからだ。

それこそが、男の幸福。

男は月を見る。

過去から現在にかけて、何一つ変わらぬ気持ちのままで。
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