きいろいアヒル
11・Shower of blessing
これから、沢原くんに告白する――。



相手の気持ちが解っていながらも、緊張していた。



しばらくして、私は食堂を後にし、自分のクラスへと戻った。



教室のドアは閉められていた。



小さい覗き窓から覗くと、沢原くんが、ひとりで、机にうつ伏しているのが見えた。



――うん、よし。



私は意を決して、ドアをガラッと開けた。



その音に気づいてか、沢原くんはびくっと起き上がった。



「……千尋ちゃん」



「どうだった、再試」



すると、沢原くんは、席を立ち、私の元へと寄ってきた。



「んもうバッチリだよ。千尋ちゃんのお陰だよ。百点間違いなし!」



そう言って、無邪気に彼は笑った。



そして、途端に表情に曇りが見え始めた。
< 73 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop