その唇、林檎味-デキアイコウハイ。

*いずれそうなるかも

 月曜の朝。いつものハイテンションハイトーン、改札での第一声はこれだった。


「凛呼!土曜あれからどうなったの!?」


 おはようくらい言おうよ、と溜息を吐く。困ったものではあるけれど、それ程珍しいことでもない。

 土曜は月曜に、だなんて言ったけれど、実際どうなったかと尋ねられたら、何と言えばいいのやら。


「……よく分かんない」


 歩き出して改札を抜け、駅のホームについてもなお食い下がる調子。これはどうやら、いつものマシンガントークの程度も軽く超えてしまったようだ。

 あの男、一生――いや、七代先まで呪ってやる。私が何をしたというのだろう、どうしてこんな目に遭わないといけないんだ。

 電車に乗り込んでもなお質問をぶつけ続ける未沙に、私は知らぬ存ぜぬの一点張り。事実なのだから仕方ない。途中から質問を聞くのも完全にやめてしまった。

 いや、未沙だけなら正直かなりいい方。学校に着けば、それこそ地獄を見ることになるであろう。分かっていても、行かないといけない。

 いっそのこと、終点まで行ってしまおうか。残念ながら、環状線だった。

 電車を降りて、直ちに人混みに紛れようと急ぐ私の足。しかし突然背後から襟を掴まれ、妙な呻き声と共に私は止まった。


「はい凛呼、逃げない」

「あ、ばれました?」


 分かってはいたのだけど、電車を降りても彼女の質問は終わらないらしい。もう少し丁寧に扱ってほしいものだ。

 おどおどしていたら逆に挙動不審なのは分かるのだけど、それでも周囲を見回してしまう。


「……凛呼?」

「普通に歩いてるだけで怖いんだけど」

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