その唇、林檎味-デキアイコウハイ。
 いつも家に置いたままにしている携帯を、部屋に上がって開く。持ち歩いていない時点でその名前の意味を成していない。

 ……思った通りだ、本当なら面倒くさい筈なのだけど、寧ろ肩の力が抜けるメール。差出人は未沙。


 『あれからどうなった?メールで終わらない話だったら月曜聞かせてね!』


 要約するとこんな内容。実際の文章はもう少し読み辛い。ご丁寧にも、バイトを上がって少し経った頃に届いている。


 はーい、それなら月曜にでも、と少々淡泊に思われそうなあっさりした文章で、直ぐに返信した。その後お風呂に入って、今日の授業の復習や明日の予習を済ませる。

 漢文よし、数学よし、現代文も恐らく。英語は大体完璧だろう。

 今日は普段と比べてやたら疲れたからだろうか、よく眠れた。きっと他の女の子なら、テンションが上がってそわそわして、逆に眠れないのだろう。


 ……意味が、分からない。

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