大空の唄
陽と2人だけになった部屋に
どこか物足りなさを感じる
「帰っちゃった…」
陽が退屈そうにソファーに寝そべった
俺も脱力したように床に座り込む
「それにしても…驚いたね」
うつ伏せたまま陽は小さく呟き
体を起こすと深くソファーに座った
「あぁ、あの空にあんなに真っ直ぐ
ぶつかってくる人久しぶりだな」
空の持つ悲しみはあまりに大きすぎた
表向きの空には尾を振って
着いて来るくせに
空の持っている深い闇を知ると
誰もがそれを避けて通ろうとする
冷めた瞳、冷たい言葉
それを怖いと言って
どんどん遠くに離れていく
そして空はどんどん闇に
呑み込まれていく
あれは3年前の寒い冬の事だった…