大空の唄


翔君のベース、陽君のドラム


そしてマイクを握りしめた空の声が、静かな会場に響いた瞬間


光が灯りワッと何かが弾けたように一気に会場が沸き上がった


キャーと叫ぶ人。メンバーの名前を呼ぶ人。指笛をならす人。


全ての音が重なって始まる前とはまた違う音を響かせる


興奮のあまり奇声にも聞こえるその音


あたしたちもそんな中の1つだった


翔くんと目が合う


手を振ると翔くんがウィンクをしてくれた


次にドラムを叩く陽くんと目が合う


再び手を振ると陽君は、手を振る代わりに器用にバチを空中でくるくるっと回した


しかしどんなに凝視しても空はあたしに気が付かない


ずっと会場の奥の方を見据えていた


「空〜!!」


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