大空の唄

変化球 -SORA-

*************


「しょーくん?」


ライブも無事終わり楽屋に帰った俺は
真っ先に翔のもとに向かった


アイツがあんな特等席に要たのは
コイツの仕業に違いない、絶対に…


「よっ!今日も良い声してたぜ」


色男めっとつついてくる手を払いのけ
キッと睨み付ける


「しらばっくれんなよ」


案の定翔は「バレた?」
と舌をペロッと出す


バレた?じゃねーよ!!


「何?動揺してるの?」


あの空が?とでも言いたげな目を向けてくる翔


「はぁ!?動揺なんて…」


「してないなんて言わせない

久しぶりに緊張感ある空の顔見たよ」


「してねーっつの!!」


誰が今更、動揺なんて…緊張なんてするもんか


俺はそう言って翔から背を向け
カツラと眼鏡と着替えを持つ


「どこ行くの?」


不思議そうに首を傾げる陽に
八つ当たりのように


「自販機!!」


そう言って部屋を出た


< 125 / 378 >

この作品をシェア

pagetop