大空の唄


「やっと終わった…」


移動する車の中


堪えていた疲労感が一気に溢れだして


俺は座席を倒して盛大なため息を漏らす


隣にいた陽はそんな俺を見て顔を歪める


「空。ため息吐いたら幸せ逃げるよ?」


「うるせぇ」


幸せなんて、逃げるときは


ため息を着かなくても逃げていくんだよ


「次は雑誌の取材とそれ用の写真撮影だ

しっかりしてくれよ、空…」


取材と写真か…めんどくさ


堅苦しいスーツ姿のマネージャーは
言うことまで堅苦しい


「分かってるよ」


それだけ言うと目を閉じた


「寝ても良いけどもう着くよ?」

はぁ?


翔の声に反応して少し身体を起こし


窓の外を見る


まじかよ…


そこにあるのは次の仕事場


俺は座席を戻さざるを得なかった


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