大空の唄


何、言っちゃってんのコイツ


冗談半分の台詞かと思って表情を確認するけど


その顔は真剣そのもの


この大胆発言は、無意識?


唖然としていると不意に目が合う


しかし絢音は照れるどころか
呆気に取られる俺に対して首をかしげた


やっぱり、鈍感なのか?


俺はクルッと身体の向きを変える


力がフッと抜ける気がした


「誰が乙女だよ…」


「何か言った?」


「何でもねー」


俺は自惚れてたのかもしれない


当たり前を当たり前に感じすぎていたのかもしれない


ただ、気がついてないフリをして…


人はいつだってそうだ


大切なモノは


失って初めて


その大切さに気が付く


この時、俺は間違いなくソレだっただろう


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