大空の唄


陽は一瞬料理する手を止めた


「ドラムをしている間
僕は素直な自分でいられる」


陽の声とトントンと言うまな板の音が響く


「辛い過去も苦しい現在(イマ)も

嫌なことばかりのも毎日も…
全部忘れられる

そんな自分だけの世界が生まれる」


本当に楽しそうに語る陽の顔は、いつも見ているドラムを奏でている時の顔だ


「そんな自分だけの世界に
翔のベースと空のギター…そして歌声

そうやって俺の世界は広がって
もっともっと楽しくなっていく」

俺はふと目を閉じた


真っ暗な瞳の奥に浮かぶのは
眩しいスポットライトの光と


心地よく調和するメロディー


確かに俺たちは音楽という世界の中だけでは


自分らしく…そして自由になれる


「僕は音楽が大好きだ


空が創る音楽はもっと大好きだ

空はどう思う?」


空はどう思う?


あぁ…俺は


いや…俺も


音楽が大好きなんだ


< 228 / 378 >

この作品をシェア

pagetop