大空の唄


『翔!そんなことより
本題に入らないと』


陽くんが我にかえったようにそういうと翔くんも再び真剣な表情になった


『そうだ
絢、空と俺たちの過去は理解してくれた?』


あたしは、ゆっくり大きく頷いた


『空を助けて欲しい
その理由は空に悲しい過去があるからじゃない

たしかにそれも理由の1つだけど…』


二人は頻繁に顔を見合わせアイコンタクトをとっていた


『絢ちゃんも知ってると思うけど、空の熱愛報道』


その言葉に胸がズキッと傷んだ


『熱愛報道の相手菜海
アイツはさっき言っていた
俺らを裏切った女なんだ』


え…


『あの日以来一度も会ったことはなかったんだけど

まさかモデルになっていたなんて…』


陽くんはそう言って俯いた


『しかもアイツは誰も知らない
空の過去を調べてやがった

そしてその情報を利用して…』


菜海はなぜそんなことをしたんだろう


ただ菜海が嫌な女なのか


それとも菜海にも…


彼女をそうさせた理由がどこかにあるのか…


考え出すとキリがない


ただ、あたしは今空を助けるとか助けないとかではなく


空に伝えたいことがある


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