大空の唄


少女はゆっくり頷くと


いつものように楽しそうに俺に音を教えてくれた



こんな日々が、いつまでも続きますように


俺は神様に見守られながら十字架の下で祈るようにそんなことを思った


しかし、神様ははあまりに残酷な未来を俺に与えた


俺の思いはまるで儚い夢のようだった



『お邪魔しまーす!


・・・あれ?』


ある日少女は突然いなくなってしまった


何も告げずに…突然に…


再び一人になってしまった俺


少女が居なくなった教会で、俺はまるで夢でも見ていたかのようなそんな気持ちになった


ただいつもと変わらずある白いグランドピアノ



俺はそこに腰を掛けた


~♪


初めて触れた時のように鍵盤に触れる


あの時と同じ音のはずなのに


今はその音が妙に切なく聞こえた


儚く消えた幸せ


そこに残ったのは切なさと、孤独と、記憶と、あのメロディー


それから何年も経って、いろいろなことがあって


その記憶は、どんどん色あせてしまった


いつの日か、あれは幼い日に見た長い長い夢だったのかもしれないと思うほどに…


色鮮やかに残ったのはあのメロディーだけだった



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