大空の唄


『空の居る場所知りたい?』


おどおどするあたしに翔が小さな声で呟いた


空のいる場所?


一瞬、考えるために体の動きが止まった


そして言葉の意味を理解したあたしは大きく首を縦に振る


空の居場所が分かる="空に会える"って事だよね?そう思った瞬間胸が高鳴った


翔に人差し指で近くに来るよう促され、あたしは迷わず翔に近寄った


空に会ったらサインもらって、歌を歌ってもらおう…


何て考えると口が緩みっぱなしなのが自分でも分かる


「翔っ、余計なこと言ったらただじゃ済まねーぞ」

「じゃあいくらで許してくれる?」

「てめぇ…ふざけんなよ!!」


そう言って翔に詰め寄る蒼空を陽がなだめるように様に押さえ付けた


「蒼空は黙ってて、心配しなくても蒼空(アオゾラ)には関係ないから」


あたしが少し嫌みっぽく微笑むと蒼空が顔を歪めた


翔に向き直すと笑いを堪えたような目で蒼空を見ている


『空は…』


声が耳元で聞こえたと同時に翔が手を伸ばしドコかを指差すその先をあたしは辿っていく


『ここにいるんだよ?』


これが全ての始まり…


嵐は何の前触れもなく


突然やって来た…



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