クールな王子様

:しつもん



ゆっくりと声がした方に顔をむける。







「…颯?」


声だけで誰かわかった私は、戸惑いもなくその名前を口にした。


「よっ!……さっきぶり。」



ニッと笑い軽く手をあげた颯に、私は壁から離れて近くに寄った。


「どうしたの?あ!翔先生に用?今さっき、教務室に戻っちゃったよー?呼んで「唯璃。」




颯が私の言葉を遮って、名前を呼んだ。


その表情は真剣で、少し怒っているようだった。




「…なーに?」


そんな颯に不安を覚えつつも、用件を尋ねた。




なんだろう…。

なぜか、嫌な予感がする。





「…なぁ。お前…、なんで陸上をやめたんだよ?」


「っ!!」


自分の体が強ばるのがわかった。


「な、んでって…?颯は知ってるでしょ…!私は「知らねぇ。」


私の言葉を遮った颯は、






────とても、怖かった。


「俺は知らねぇよ。本当の理由なんて、聞いてない。」


そう言って、颯は私に一歩ずつ近づいてきた。


「本当の…、理由?」


颯の言っている意味が分からず、聞き返した。




…本当の理由?



陸上…、の………っ!!


はっと顔を上げて颯を見上げる。


「聞いてたの…っ?!」




…聞かれてた。


さっきの翔先生との会話を。


< 65 / 65 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

子鬼のお誘い
珀羽/著

総文字数/3,759

恋愛(その他)9ページ

表紙を見る
1人のお嬢様の願い
珀羽/著

総文字数/20,219

恋愛(その他)35ページ

表紙を見る
*crossroad*
珀羽/著

総文字数/4,696

詩・短歌・俳句・川柳11ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop