キミが好き
だから、可奈ちゃんには聞いてほしい。
俺は、唾をごくりと飲み込むと真剣な顔をした。
「なぁ、可奈ちゃん」
「ん?なあに?」
「俺の話…聞いてくれる?」
可奈ちゃんは、首を傾げたものの、すぐに笑顔で頷いてくれた。
「俺な…」
俺……
ずっと、ずっと…
忘れられない人がいるんだ。
…────────
─────────────
それは、俺が中学に入学したばかりの頃。
1年だというのに髪はワックスで靡かせ、制服は着崩していた。
そのせいで、先輩からはよく「調子に乗んなよ」って殴られたりされてた。
「いってぇ…───」
クラスでも怖がられてて、全然馴染めてなかった。
でも、そんな時に君に出会ったんだ…──────
クリーム色に染め上げた髪、ぱっちりした目、ふっくらした唇、白い肌。
全てが愛しかった。
顔に似合わず、暴言をはく君。
でも、そんな君は誰よりも俺に優しかったんだ…