傷だらけの僕等

俺は困惑していた。

あんなに自分の感情を出すのが下手なはずなのに、俺なんかの話を聞いて素直に涙を流している彼女に。

そして、彼女に自分の過去を全て話して、なぜか少し美智のことを「過去」にできたような気がする自分に。


「俺、お前に泣いてほしくて話したわけじゃないぞ。」

「分かってる。分かってるよ…そんなこと。」


そうは言うものの、一向に彼女の涙が収まる気配がない。


『もう泣くなよ。』

そう言おうとしたその時だった。




彼女の方から俺を抱きしめてきた。