傷だらけの僕等
「泣いた?」

真っすぐに聞いてくる先生。
あたしはその瞳に応えられない。

「何かあったのか?」

「何でもない。」

「何でもなくないだろその目。」


先生はあたしをぐいっと引っ張った。

あたしをぎゅっと抱きしめる。


「言えよ…
一人で抱え込むな。」


そんな優しさがあたしをもっと切なくさせる。

きゅっと胸が苦しくなる。

言って…しまいたくなる。

でもダメ。

ダメだよ。言っちゃ。

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