傷だらけの僕等
「怖い夢を見て、涙が出ただけ。
涙が止まらなくなっただけ。」

咄嗟についた嘘。


「そんな怖い夢?」

「あんま覚えてないけど。」

「変な時間に寝るからだろ?」

「そうなの?」

「そういう話なかったっけ?」

「分かんない。」

「じゃ、休んどけ。目を冷やして。
あとは俺がやっとくから。」

「目ぐらい大丈夫。
先生は仕事で疲れてるんだから…。」

「いいから。」


先生がキッチンに立つ。

何もすることがなくなったあたしは大人しく目を冷やしながらソファーに座る。


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