イケメン倶楽部
「なにかあったんだよね…?」
「…………あたしが…男じゃないって………誰か…に…ばれたの……」
「え…?」
水滴が頬をつたう。
どこの誰なのかも
男か女かも
何もかもわからない…
ただわかったのは、あたしが男じゃないって知っている人がいること。
その人の存在だけでも、あたしの心は大きく揺れた。
「…葵。」
初めて名前だけで呼ばれたからなのか
聖君の真剣な声色のせいなのか
妙に聖君の声が大人びて聞こえた。
「今からそっちに行くから。」
「え…?」
「こんな風になってる葵ちゃんをほっとけないよ。」
「…ありがと」
静かにそう一言だけ言うと、電話を切った。
いつもこうだった。
あたしが泣いていると聖君が「今から行くよ。」って言ってくれた。
いつも
いっつも…
泣くのはあたしの方だった。