イケメン倶楽部




「なにかあったんだよね…?」
「…………あたしが…男じゃないって………誰か…に…ばれたの……」
「え…?」



水滴が頬をつたう。





どこの誰なのかも



男か女かも




何もかもわからない…




ただわかったのは、あたしが男じゃないって知っている人がいること。




その人の存在だけでも、あたしの心は大きく揺れた。




「…葵。」



初めて名前だけで呼ばれたからなのか



聖君の真剣な声色のせいなのか



妙に聖君の声が大人びて聞こえた。





「今からそっちに行くから。」
「え…?」
「こんな風になってる葵ちゃんをほっとけないよ。」




「…ありがと」



静かにそう一言だけ言うと、電話を切った。




いつもこうだった。



あたしが泣いていると聖君が「今から行くよ。」って言ってくれた。



いつも



いっつも…





泣くのはあたしの方だった。








< 191 / 432 >

この作品をシェア

pagetop