イケメン倶楽部
「…あ。先輩。」
「えっ…?!」
愁の目線の先を追うと、
先輩がドアに寄り掛かって、少し睨んでいた。
「僕ちょっと行ってくるね!」
先輩の元へ走り寄ると、何か耳打ちをしている。
ってか、先輩と愁ってあんなに仲良かったっけ?
「…おいで。」
先輩が手招きをしている。
いつもとは違った優しい声。
ちょっと意地悪な先輩も好きだけど、
たまに見せてくれる優しい先輩も好き。
なーんてたまには惚気させてね?
「なんですか?」
「抜け出そっか。」
「えっ?!」
先輩の口から飛び出したのは、予想外の言葉だった。
抜け出すって…
簡単に言うけど、
まだ先輩のクラスに行ってないし…
「他の女の相手は疲れたし。葵、癒してよ。」
「ギャッ…!」
先輩の重みがあたしにかかってくる。
足がよろけそうになったところを先輩の腕が掴んだ。